NOSE CLINIC TOKYO
Yaesuguchi Daiei Building,1-3-1, Kyobashi, Cyuo-ku,Tokyo, Japan
Tel 03-5205-2220( 8:30~17:00 )

鼻の手術

慢性鼻炎、副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症に対する当院の手術について、概要をご説明いたします

慢性鼻炎の手術

花粉症をはじめとする「季節性の鼻炎」では、鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどの典型的な鼻炎の症状が出ますが、「慢性鼻炎」の主な症状は鼻づまりが多く、鼻水やくしゃみを伴わないことが少なくありません。鼻水やくしゃみが薬剤治療で軽減しやすいのとは対照的に、鼻づまりは薬剤治療の効果が少なく、症状が徐々に進行するため、治療されず放置されやすいのが実情です。

急に鼻づまりが起きた場合には、集中力が低下したりよく眠れなくなったりして、大きなストレスが生じます。慢性鼻炎では、この状態が長期間継続することになり、日常生活の質(QOL)が低下するのはもちろん、とくに発育途上の子どもは、脳や心身の発達に対する影響や、虫歯、歯並び、顎の骨への影響など深刻な問題が生じてきます。

鼻閉(鼻づまり)の特徴
1.保存的治療(薬剤による治療・減感作療法)では効果が少ない
2.徐々に進行するため、放置されやすい
3.慢性化すると全身的な悪影響をもたらす

慢性鼻炎に対して当院で実施している手術のうち、(1)後鼻神経切断術(2)下鼻甲介の手術についてご説明します。
(1)後鼻神経切断術
後鼻神経
[手術の目的]
「後鼻神経切断術」は、従来の鼻炎手術の後遺症の問題を解消した新しい手術法で、1997年に国際学会で当院の黄川田医師が報告したものです。薬などの保存的治療では改善しづらい、重度の鼻炎症状の改善を目的として行われます。後鼻神経切断術は多くの臨床例があり、鼻水やくしゃみ発作だけでなく、粘膜の腫れによる鼻閉(鼻づまり)に対しても効果があることが確認されています。
[手術の方法]
当院では、より安全な手術を目指して手術法や手術機械の改良を重ね、神経と伴走する動脈だけでなく、直径1mm以下の細い静脈をも温存し、対象とする太さ0.2〜0.5mm程度の神経だけを切断する超微細手術を開発しました。これにより術中・術後の出血のリスクが大幅に減り、身体への負担を抑えることが可能になりました。成人の方だけでなく、重度の鼻炎をもつ小児の患者さんにも受けていただくことができます。
[手術治療で期待できる効果]
通年性の鼻炎症状である鼻づまり、鼻水、くしゃみのいずれに対しても、薬では得ることのできない効果を期待できます。また当院で行った調査では、慢性鼻炎と花粉症の両方をもっている患者さんの50%以上が、花粉の時期にも薬を使用しなくて済むようになっていることから、この手術が花粉症の予防治療としても有効であることが明らかになっています(2015年の日本耳鼻咽喉科学会総会で報告)。
しかしながら、手術により得られる効果の程度や効果の持続期間は、患者さんによってまちまちです。とくにアレルギーが原因となっている鼻炎(アレルギー性鼻炎)では、手術後もアレルギーの原因物質と接触すると一時的な反応を引き起こすため、ある程度の鼻炎症状を反復する可能性があります。しかし手術後に現れる症状は、通常、手術前よりも軽度でかつコントロールしやすい状態となります。
(2)下鼻甲介の手術
下鼻甲介
[手術の目的]
下鼻甲介周囲の通気性を高めるため、突起状の形を保ったまま、粘膜の厚みを減らす手術です。
[手術の方法]
当院では、①熱を加えて粘膜組織を焼灼させる方法「下甲介粘膜焼灼術」、②粘膜下組織と骨の一部を吸引切除する方法「粘膜下下甲介骨切除術」の2つの方法を用いています。①の方法は、成人であれば局所麻酔を用いて外来で行うことが可能です。②の方法は出血を伴うため、全身麻酔を用いた20分程度の手術となります。
[手術治療で期待できる効果]
①の粘膜組織を焼灼する方法は、簡便に行えますが、効果は限定的です。花粉症のように症状が出る期間が限られる鼻炎に対しては、1シーズンは効果が得られるのが一般的です。しかし、慢性鼻炎では数ヶ月程度で再発する例が少なくありません。 ②の方法は、より長期間の効果が期待できます。ただし、効果は下鼻甲介周囲という鼻の中の一部分の通気性改善にとどまるため、この手術のみでは症状の改善が不十分と考えられる場合もあります。その場合は、他の手術が併用されます。
副鼻腔炎の手術
後鼻神経
副鼻腔とは、顔面の骨の中にある空洞のことで、場所によって4つに分類されます。すべての空洞は「自然口」と呼ばれる小さな孔で鼻腔とつながっており、この自然口を通って、空気が鼻腔から副鼻腔に流れ込んだり、副鼻腔の中で作られた分泌液が鼻腔へ排出されたりしています。
副鼻腔が正常な状態を保つためには、自然口がしっかりと開いている必要があります。慢性鼻炎がある場合や、風邪などで急性炎症が起きて鼻腔粘膜が腫れた場合、自然口が狭くなったりふさがったりすることがあります。すると、副鼻腔内の粘膜が腫れたり、細菌が増殖したりします。このような状態が慢性化したものが、慢性副鼻腔炎です。
[症状]
慢性副鼻腔炎は、症状が現れないことも少なくありませんが、典型的な症状としては、黄色いドロドロした鼻汁(膿性鼻汁)、頭痛や顔面痛などが挙げられます。
[治療法]
必要に応じて抗生剤を投与します。症状が改善しない場合や、いったん改善しても何度も反復する場合には手術治療の適応となります。
[手術の方法]
慢性副鼻腔炎の手術は、炎症を起こした空洞の粘膜を取り除く方法(根本手術)から、内視鏡の導入により、自然口のみを拡大し、空洞の粘膜の大部分を保存する方法(保存的手術)へと変化しています。しかし、構造が複雑な一部の空洞部分に対しては保存的手術が適応されておらず、現在でもその部分の粘膜や骨壁すべてを切除するという手術が行われています。
当院では、内視鏡吸引洗浄装置を用いた微細手術により、保存的手術の原則を、構造が複雑な部分にも適応させた副鼻腔手術を確立しています。これにより手術の安全性が向上しただけでなく、炎症の程度や年齢に応じて切除範囲を自由に調整できるため、小児に対しても安全な副鼻腔日帰り手術を提供することが可能になりました。
[手術治療で期待できる効果]
手術の効果は粘膜の持つ“回復力”に左右されるため、1回の手術で完治するかどうかは実際に手術してみないとわからないのが現状です。とくに喘息や慢性鼻炎を合併しているケースでは、完治は難しいとされています。 しかし粘膜が正常化しない場合でも、手術で通気性を改善することには大きな意味があります。粘膜の本来の姿である“空気と接触した状態”を作り出すことにより、炎症の進行を抑え、症状をコントロールしやすくなるからです。
[好酸球性副鼻腔炎]
成人になって発症し、嗅覚障害や鼻づまりを主訴とする難治性副鼻腔炎です。気管支喘息やアスピリン喘息を合併することが多く、手術を行っても再発する可能性が高いため、継続的な治療が必要です。
鼻中隔弯曲症の手術
鼻中隔とは、鼻の中を左右に分けている骨の壁です。顔面の骨の発育に伴い、左右どちらかに弯曲してくることが少なくありません。鼻症状の原因となっていなければ、通常は治療の対象にはなりません。
[症状]
鼻中隔の弯曲それ自体によって、日常生活に支障をきたすことはほとんどありません。ただし慢性鼻炎による粘膜の腫れが合併すると、鼻づまりなどの症状があらわれることがあります。
[治療法]
鼻づまりの症状がひどく、日中も夜間も口呼吸をしている場合には、手術治療を行います。
[手術の目的]
鼻中隔の弯曲を矯正し、左右の鼻腔の通気量のバランスをとることが手術の目的です。
[手術の方法]
鼻中隔をおおっている粘膜を残したまま、弯曲している軟骨や骨を切除します。
[手術治療で期待できる効果]
鼻づまりの多くは鼻腔粘膜の腫れ(慢性鼻炎)が主な原因であるため、鼻中隔の矯正手術だけで鼻閉を解消できるわけではありません。しかし、鼻炎による粘膜の腫れは左右で変動していることから、弯曲を矯正すれば両方の鼻腔の総通気量を安定させることができます。