日帰り全身麻酔手術
全身麻酔下による短時間手術で
「日帰り手術」に対応します
当院は、前身となる「耳鼻咽喉科サージセンター浜松」開設当初より鼻の手術治療に内視鏡を取り入れ、さらに周辺機器の開発や新しい術式の開発にも積極的に取り組み、手術時間を30分程度にまで短縮し、患者さんの身体への負担軽減を実現しています。麻酔法も、当院の手術を支える麻酔医チームのもとで大きく進化してきました。現在、当院では、手術終了から10分程度で覚醒する短時間全身麻酔を行っています。近年は、子どもの鼻炎や副鼻腔炎が心身の発育に深刻な弊害をもたらすことに注目し、小児の手術治療の必要性を提唱するとともに、手術治療の研究・開発にも、積極的に取り組んでいます。
当院の日帰り手術の特徴
- 痛みや恐怖を
感じることなく
手術が完了 - 術後、
短時間のうちに
日常生活が可能 - 早期に
仕事や学校に
復帰が可能
健康に日常生活を送られている方が当院の手術適応となります。下記に記載されている疾患で現在治療中、あるいは過去に既往のある方は、手術をお引き受けできない場合があります。また、下記に該当しない場合でも、医師が適応範囲外と判断した場合、または手術前検査の結果に問題があった場合には、手術をお引き受けできないことがあります。
- 心筋梗塞・狭心症・不整脈・ペースメーカー装着中の方
- 脳塞栓・脳出血の既往のある方
- 高血圧症で治療中にもかかわらず血圧が140/90 以上ある方
- 糖尿病(インスリン治療中、またはHbA1c8.1以上)の方
- 人工透析中の方
- 肝炎または肝硬変の方
- インターフェロン治療中(B型C型ウィルス性肝炎、悪性腫瘍、白血病)の方
- 抗血栓薬を内服している方
- 重症睡眠時無呼吸症候群の方
- 70 歳以上の方
- 高度肥満(BMIの数値が35以上の方)
手術当日の帰宅が可能になる基準
術後の安全のため、手術当日の帰宅の可否・近隣ホテルへ宿泊の要否の判断は、事前に医師が決定しています。
- 帰宅時から翌朝まで、ご家族の付添いが可能なこと
- 公共の交通機関ではなく、患者さん以外が運転する車、またはタクシーによる帰宅が可能であること
- 上記移動手段による当院からご自宅までの移動時間が、概ね1時間であること
※近隣ホテルに宿泊される患者さんも、必ず付添いの方と一緒にご宿泊(同室)ください。安全確保のため、翌朝まで患者さんがお一人になることのないよう、ご協力をお願いしております。
当院の日帰り全身麻酔手術について
当院で手術を受けられる患者さんの中には、長い間、慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の症状に苦しんでいらっしゃった方が少なくありません。手術治療を避けてきた主な理由は、「手術の痛みに対する恐怖」や「日常生活に支障をきたす長期入院」への抵抗です。当院では、「日帰り全身麻酔手術」を行っています。これは、従来の手術治療の障壁を取り払い、「痛みの少ない手術」「入院を伴わない手術」を実現させた治療システムです。
使用量を最小限に抑えた麻酔
全身麻酔は、意識と痛みを取り除いて手術時の苦痛をなくします。また、手術中の身体の反射的な動作を抑制できるため、安全かつ円滑に手術が行えます。通常の全身麻酔は、長時間の手術を前提に、呼吸の通路を確保するために気管にチューブを挿入します。気管粘膜は刺激に対して過敏に反応するので、この反応を抑えるため、筋肉を動かないようにする薬(筋弛緩薬)や麻酔を深くするために十分な麻酔薬を使用します。これに対して、当院ではほとんどの場合、のどに挿入するマスク(ラリンジアルマスク)を使って全身麻酔を行います。気管粘膜に刺激を与えることがないので、原則的には筋弛緩薬が不要で、麻酔薬の使用量も最小限に抑えることができます。
全身麻酔の流れ
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STEP1
絶飲絶食
全身麻酔では、「誤嚥」「誤嚥性肺炎」「嘔吐」が起こる可能性があります。この頻度を下げるため、手術前に胃の中を空にしておく必要があります。絶飲絶食のスケジュールについては、医師の指示に従ってください。
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STEP2
手術室入室・モニター機器装着
手術室に入り、血圧、心電図、身体の酸素濃度を監視する機器を取り付けます。また薬剤の投与および水分確保のため、点滴します。
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STEP3
麻酔導入・挿管
酸素マスクから酸素を吸入します。点滴から麻酔薬が投与され始めると、だんだんと意識がなくなっていきます。その後、口から喉へマスク(ラリンジアルマスク)を挿入し、手術中の呼吸を人工呼吸により調節します。
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STEP4
手術開始
麻酔が安定すると手術が始まります。
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STEP5
手術終了・麻酔覚醒
手術が終わると、麻酔を覚まします。手術終了後から覚醒までの間は麻酔が浅くなり、手術室内の音やスタッフの声が聞こえることがあります。
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STEP6
抜管
意識がはっきりとし、呼吸が安定したことを確認したのちに、ラリンジアルマスクを抜きます。
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STEP7
帰室
抜管後、状態が安定していることを確認し、ベッドに寝たまま病室に戻ります。